2009年03月23日
ピカデリ−ホールの話 vol.2

二人は建物の前でしばし様子をうかがっていた。
ガラスの向こうには人影も無く、静まり返っている。
その大きな扉を押して中に入ってみた。
受付には誰もいないようだ。
「すいませーん!」
声をかけてみるが返事はない。
しかしなんともいえない雰囲気。
時代そのものを吸い込んで来たようなレンガの壁。
上映されたであろう映画の世界が、フッと薄暗い隅から浮かび来るような。
この心のざわめきはなんであろうか!
そう。
僕らはすでに、何者か”の存在を感じはじめていたのだ。
Posted by オト・キッド at 23:20│Comments(0)
│オト・キッドより。